タンパク質スタンダード 全般に関する質問集

質問 ID: 1496

[タンパク質スタンダード 全般] いままで使用していた分子量スタンダード(異なる製品)と移動度が異なっています。どちらが正しいのでしょうか?

回答

分子量スタンダードの種類(メーカーを問わず)によって、提示されている分子量と移動度が異なることがあります。これには次の原因が考えられます。

【SDS-PAGEの原理による限界】

SDS-PAGEはタンパク質とSDSの結合したタンパク質を泳動する方法です。しかし、SDSとタンパク質の結合比率は全てのタンパク質で一様ではなく、全く結合しないアミノ酸も存在します。その結果、分子量の大きさの違いに加え、SDSが多く結合するタンパク質は早く移動し、結合し難いものはゆっくり移動するようになります。SDS-PAGEはあくまでも見かけの分子量を測定するための手法です。

【それぞれのタンパク質の分子量の決定方法の違い】

天然タンパク質由来の分子量スタンダードは、分子量が文献などで報告されているタンパク質を混合して販売されています。表示されている分子量は文献によって報告されている値で、その分子量の測定方法はタンパク質ごとに様々です。測定方法としてはアミノ酸配列、SDS-PAGEによる見かけの分子量、超遠心法などが挙げられます。 一方、リコンビナントタンパク質由来のプレシジョンPlusスタンダードは、質量分析による分子量の測定とSDS-PAGEの見かけの分子量をもとに全てのタンパク質の分子量が測定、決定されています。天然由来タンパク質スタンダードと異なりすべてのバンドの分子量は一貫した方法により決定されています。

上記のようにスタンダードによって分子量の決定基準が統一されていないため、同じ分子量で表示されていても実際の移動度が異なることがあります。