マイクロロトフォアシステムに関する質問集

質問 ID: 1881

[マイクロロトフォア] pHグラジェントが直線的にできていません。原因は何ですか?

回答

以下のことが原因として考えられます。

1) 電極液が漏れた
電極液が漏れる原因の多くは、イオン交換メンブレンがひび割れたり、乾燥したり、擦り切れたりしていることが考えられます。イオン交換メンブレンがきちんとメンテナンスしていれば、4-5回の泳動に使用することができます。

2) 吸引が均一でない
吸引圧の低い(22inchHg以下)のポンプを使用していたり、吸引の際にハーベストトレイを押して陰圧にしていなかったりすると、吸引が均一にできない可能性があります。

3) 泳動時間が短時間すぎる
標準のアプリケーション(pH3-10)の場合、マイクロロトフォアセルは3時間程度で泳動が終了します。フォーカシングを完全に行うために、電圧が安定してから30 分間泳動を続けてください。

4) サンプルの塩濃度が高すぎる
高い塩濃度はフォーカシングチャンバー内の電圧の上昇を妨げ、pH グラジェントが直線性を持つフラクションの範囲を狭めます。タンパク質の安定性、可溶性、活性を維持するために、特に高いイオン濃度が必要であれば、バイオライトを塩の代わりに使用することもできます。

5) バッファー濃度が高すぎる
タンパク質のサンプル中のバッファーが過剰であると、pH グラジェントが乱れる可能性があります。サンプルバッファーのpKa によって緩衝されて、フォーカシングチャンバー内のpH グラジェントが平坦化する原因となります。

6) サンプルの温度が高い
タンパク質の拡散率は、溶液の温度に比例します。温度が高い場合、タンパク質とアンフォライトはフォーカスされた後に広がってしまいます。マイクロロトフォアセルの温度はアプリケーションに合わせた推奨条件に設定してください(日本語取扱説明書 Table3.2 参照)。

7) アンフォライトの品質が劣化している
アンフォライトの品質はpH グラジェント形成の完全性と再現性に影響します。アンフォライトのLot やメーカーが様々ありますが、保存は4℃、暗所にすることが重要です。バイオライトの使用期限は購入後1年です。

8) タンパク質量が多すぎる
タンパク質の量が多いとメンブレンが目詰まりしてしまい、タンパク質やアンフォライトがフォーカシングチャンバー内での移動できずに分離が悪くなることがあります。タンパク質量が経験的に決められますが、できるだけ減らした方が分離能は上がります。