[シルバーステインキット] どのような原理でバンドの銀染色が行われていますか？

シルバーステインキットは、Merril らの開発した方法に基づいた銀染色キットです。
基本的には、次のような原理で染色が行われています。

1) メタノール酢酸によるタンパク質の固定
2) 酢酸の洗浄、除去
3) 銀イオンの添加
・重クロム酸カリウムがタンパク質中のSH基やOH基などを酸化
・それらの部位に対して銀イオンが結合
4) 塩基性pHにおいて、パラホルムアルデヒドが銀イオンを還元して金属銀となる（これによりバンドが識別できるようになる）
5) 酢酸を添加してpHを下げることで、還元反応を止める

この銀染色方法は糖タンパク質やＩＥＦゲルを染色することができるという利点があります。
その一方で、ゲル中のタンパク質は酸化反応を受けて質量が変化しているため、質量分析によるタンパク質同定を行うことはできません。

Merril C. R. et. al. (1981) Science 211 pg 1437-1438