次の原因が考えられます。
1)目的タンパク質のサイズが大きい。
トランスブロットSDセルでは高分子量(120kDa~)の転写効率は極端に低下します。これは、セミドライ方式でブロッティングするために、バッファー量が限られ、長時間のブロッティングができないことや、冷却機能を持たないため、電気条件が限られているためです。
高分子タンパク質がターゲットの場合には、タンク式ブロッティング装置を用いることが推奨されます。
2)ゲルが厚い。
トランスブロットSDセルでは0.75-1.0mm厚のゲルを推奨しております。ゲルが厚い場合は転写時間を検討してください。
ただし、トランスブロットSDでの最長転写時間は1時間です。
3)ろ紙が薄い。
ろ紙が薄いと保持されている転写バッファーが少なくなり、また、ゲルとメンブレンの密着性が低下します。
トランスブロットSDセルでは極厚フィルターペーパー(厚さ約2.45mm)をお使いください。
4)転写バッファーが多すぎる。
トランスブロットSDセルではフィルターペーパーに保持されたバッファーでブロッティングされます。
その際、過剰なバッファーが電極板に残っていると、電気がメンブレン-ゲル間を通電し難くなり、転写効率が低下します。
フィルターペーパー、ゲル、メンブレンを積み重ねた後、必ずガラス棒などを転がし、フィルターペーパーから過剰なバッファーを取り除き、その際に電極板に出たバッファーは完全にふき取った後、フタをしてブロッティングを開始してください。
[トランスブロットSDセル] [トランスブロットSDセル] 中央部分の転写効率が低いなどの転写ムラが認められます。 |