このコーナーでは、定期的にバイオ・ラッドの新製品や技術情報のトピックをご紹介します。

 バイオ・ラッドでは、ウェスタンブロッティングやクロマトグラフィーなどで、TGX Stain-Freeゲルを用いたワークフローをご提案しています。(Stain-Free ゲルについてはバックナンバーにも記載があります)。 その中でも、ウェスタンブロッティングにおける総タンパク質検出による補正(Total protein normalization)にStain-Freeゲルを用いることで、ウェスタンブロッティングでの定量データをより信頼性高く算出することができます。

ウェスタンブロッティングにおける総タンパク質での補正
総タンパク質検出による補正(Total protein normalization)とは、化学発光で検出したバンドと同じレーンの総タンパク質を検出し、検出されたバンド強度の総和をローディングコントロールとしてウェスタンブロッティングでの補正に使用する方法です(Fig. 7)。

一般的に、ウェスタンブロッティングにおけるバンド定量には、ハウスキーピングタンパク質(ActinやGAPDH、Tubulinなど)をローディングコントロールに用いた補正を行いますが、論文提出後に結果のエラーが見つかり、論文を撤回したり訂正表を載せたりするなどのトラブルも発生しています。 一部のジャーナルでは、ウェスタンブロッティングの内部標準の取り扱いを厳しくし、広いダイナミックレンジのシグナル検出ができる撮影技術の使用を義務化しています。ローディングコントロールを含むこと、シグナル強度の直線性を確認すること、ノーマライゼーションに使用するものが適切であることを確認することは義務ではありませんが、ウェスタンブロッティングの結果に信頼性を得るには望ましいことです。

Stain-Freeテクノロジーを用いた総タンパク質検出による補正は、これらの新しいウェスタンブロッティングのガイドラインに合致した手法と言えます。

Fig.7. ImageLabでの、総タンパク検出と化学発光検出画像による補正

Stain-Freeテクノロジーとは?
Stain-Freeゲルは、SDS-PAGE後のゲルを染色せずにバンド検出ができる手法です。
ゲル中にトリハロ化合物が含まれており、UV照射をするとタンパク質中のトリプトファンとトリハロ化合物が架橋して、UVによる蛍光を発することでバンドが検出されます。
トリプトファンが含有されたタンパク質は、CBB染色とほぼ同等の感度で検出されます。ダイナミックレンジは、総タンパク質染色で、10-80ugで直線性が得られ、さらにタンパク質量の少ない1-20ugでも直線性が得られます。

Fig.3 Stain-Freeゲルの検出感度とダイナミックレンジ A(上段):10-80ug,B(下段): 1-20ug

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