このコーナーでは、定期的にバイオ・ラッドの新製品や技術情報のトピックをご紹介します。

2次元電気泳動解析において、血清や血漿サンプルはアルブミンなど特定のタンパク質の存在比が大きく、それ以外のタンパク質量の少ないものをスポットとして検出するのが難しくなります。植物の葉や光合成を行う組織でも、同様にサンプル中の50%以上がRuBisCO(Ribulose bisphosphate carboxylase/oxygenase)が占めています。
ProteoMinerのプロトコールは、血清、血漿サンプルに合わせたものになっていますが、この技術資料では、ホウレンソウの葉をサンプルとして、ProteoMinerで処理後に2次元電気泳動を行っています。
サンプルは2つの抽出方法により、非変性サンプルと変性サンプルとし、2次元電気泳動を行ってProteoMiner処理したものと未処理のものと比較しています。

非変性サンプル:プロテアーゼインヒビターを含むTrisバッファーで抽出

左はProteoMiner未使用、右はProteoMinerで処理したサンプルの2次元電気泳動結果
1次元目IPG Strip pH5-8 11cm、2次元目8-16%
右図の赤丸はProteoMiner処理したサンプル特異的に検出されたスポット

変性したサンプル:SDSと還元剤を含むバッファーで抽出

左はProteoMiner未使用、右はProteoMinerで処理したサンプルの2次元電気泳動結果
1次元目IPG Strip pH5-8 11cm、2次元目8-16%
右図の赤丸はProteoMiner処理したサンプル特異的に検出されたスポット

2次元電気泳動の結果、非変性/変性サンプルのどちらでも、ProteoMinerでの処理によりユニークなスポットを検出することができました。
HFIP(ヘキサフルオロイソプロパノール)やTFE(テトラフルオロエチレン)は、ProteoMinerとタンパク質とのイオン性や疎水性の相互作用に影響することなく、変性サンプルの可溶化に用いることができました。 ProteoMinerでの処理により、RuBisCOの高分子のサブユニット(約50kD)は、非変性/変性のサンプルともに大きく減少させることができました。

タンパク質電気泳動・ウェスタンブロット関連のバックナンバー
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