このコーナーでは、定期的にバイオ・ラッドの新製品や技術情報のトピックをご紹介します。

医薬品の開発においては、高感度で再現性のある薬物動態(Pharmacokinetic, PK )アッセイを行う必要があります。 血中の薬剤濃度を測定し、モニタリングすることは、薬効との関係性や薬剤の代謝を解析する上で非常に重要です。ただし、血中に含まれる多量の抗体と区別して抗体医薬品の濃度を測定するためには非常に高い特異性が求められます。そうした薬物モニタリングアッセイにおいて、抗イディオタイプ抗体(anti-idiotypic antibody, Anti-ID) は効果的なツールとなります。

抗イディオタイプ抗体とは、抗体分子の抗原認識領域(CDR; Complementarity determining Region, 相補性決定領域)を認識する抗体のことです。 この部位は、抗体分子の可変ドメインとも呼ばれるように非常に変化しやすく、それゆえ、特異性の高い抗イディオタイプ抗体の作成は非常に難しいとされています。バイオ・ラッドでは、既に利用されている治療用抗体に対する抗イディオタイプ抗体を多数ラインアップしています。

また、薬剤は生体に投与されると異物として免疫反応し、その薬剤に対する抗体(Anti-drug antibodies, ADA) が出来てしまうことがあります。 ADAは生体内で薬剤に結合し、作用を中和することで有効性が減弱(loss of efficacy)したり、場合によっては 有害事象(adverse events) の原因となりえます。抗イディオタイプ抗体は、ADA定量のためのリファレンスとして、そのような免疫原性( Immune response, IR )アッセイ系の構築に用いることができます。

抗イディオタイプ抗体とは
what-is-an-anti-idiotypic-antibody
抗原結合領域(パラトープ)を含めて、抗体の可変しうる部分の組合せはイディオタイプと呼ばれ、それぞれの抗体に固有のものです。ある抗体のイディオトープ(イディオタイプ中のエピトープ)に結合する抗体を抗イディオタイプ抗体(anti-idiotypic antibody)といいます。抗イディオタイプ抗体にはパラトープに結合するもの(中和抗体)とパラトープ外に結合するものがあります。
抗イディオタイプ抗体を用いた薬物動態ブリッジングアッセイ
PK Assay: Anti-idiotype Antibody Bridging Assay
このアッセイでは同一ないし二つの異なる抗イディオタイプ抗体(Anti-IDs)を使用します。治療用抗体は二価であるため、キャプチャー抗体と検出抗体をブリッジすることで定量検出することができます。
高い特異性をもつ抗イディオタイプ抗体(Fab抗体, 紫色)を低濃度で固相化し、血清サンプルに含まれる治療用抗体(Drug,金色)が捕捉されます。結合した抗体の他方のイディオトープに対して、標識された二つ目の抗イディオタイプ抗体が結合することで定量・検出されます。
抗イディオタイプ抗体を用いた免疫原性ブリッジングアッセイ
IR Assay: Anti-idiotype Antibody Bridging Assay
このアッセイでは患者体内で生成されるAnti-drug antibodyのサロゲートとして、抗イディオタイプ抗体を使用します。治療用抗体(Drug, 金色)を固相化し、抗イディオタイプ抗体(Anti-ID, 青色)を濃度を変えて添加します。結合したAnti-IDは、標識した治療用抗体で検出します。

今回とりあげましたTechNoteでは、HuCAL (Human Combinatorial Antibody Library)テクノロジーを用いて抗IL-6抗体医薬品および抗IL-13抗体医薬品に対する抗イディオタイプ抗体を作成し、それを用いたPKおよびIRアッセイ系を構築した論文を紹介しています。

抗イディオタイプ抗体ラインアップ
今回の記事の関連情報

今回とりあげました記事の全文は、こちらからご覧いただけます。

さらに興味をお持ちの方は、こちらのTechNoteもご覧ください。バイオ・ラッドでは、結合様式の異なる抗イディオタイプ抗体を用意しています。 バイオ・ラッドでは、Ready-madeのAnti-Biotheraputic Antibodiesを多数ラインアップしています。
HuCAL抗体は研究用です。

HuCALで作成した抗体はバイオ・ラッド抗体検索サイトで確認できます。

HuCALテクノロジーによる抗体作成サービスにつきましては、下記までお尋ねください。
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