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今回ご紹介する資料は、英国の政府機関である Animal Health & Veterinary Laboratories Agency (現Animal and Plant Health Agency) のShelley G. Rhodes氏による、ウシ結核検査の研究開発の現状を紹介するレポートです。

ウシ結核の原因菌であるMycobacterium bovisに感染すると、まず細胞性免疫応答が起こり、その後体液性免疫応答が起こります。細胞性免疫応答に相関するのが皮膚試験(ツベルクリン反応検査)と、血中のInterferon gamma (IFN-γ) の濃度です(下図)。

図:Immunology of Tuberculosis

赤破線:皮膚試験(ツベルクリン反応検査)、青線:IFN-γ検査、緑点線:抗体反応
(出典:Vet J. 2002 Mar;163(2):115-27)

ツベルクリン反応検査は比較的最近まで、ウシ結核の唯一の検査法でしたが、1994年にオーストラリアで、血中のIFN-γ濃度を測定する検査法(IFN-γ検査)が開発されました。IFN-γ検査はツベルクリン反応検査より高感度ですが、特異性は十分でないため、英国ではツベルクリン反応検査と併用されることが一般的です。英国では年間に約3万例のIFN-γ検査が行われています。

本資料では、このようなウシ結核検査法の改良のため、他のサイトカイン(IL-1β、IL-17、IL-22など)を新規マーカー候補として研究する取り組みが紹介されています。結核は免疫系が深く関与する疾患であるため、複数のサイトカインからなるネットワークを解明することが、新たな診断法の開発に貢献すると期待されます。

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