このコーナーでは、定期的にバイオ・ラッドの新製品や技術情報のトピックをご紹介します。

定量的なウェスタンブロッティングでは、ターゲットタンパク質を検出するだけではなく、適切なローティングコントロール(Loading Control)を用いたチェックも必要だとされています。もし、ローティングコントロールなしで実験を進めてしまうと、各ウェルで正確に等量のサンプルがアプライされているか、ゲルからメンブレンへの転写がムラなく均一にできたか、といったことを実験的に担保できないため、説得力のないデータとなってしまいます。ウェスタンブロッティングで良く用いられるローディングコントロールには、次のようなものが挙げられます。

1. 総タンパク質染色
メンブレンの Ponceau S 染色や Stain-Free ゲルを用いた総タンパク質染色を行うことによって、ウェスタンブロッティングに用いたメンブレンで、バンドパターン(タンパク量)が均一であることを明示できます。総タンパク質染色はハウスキーピングタンパク質の検出に比べると簡便なうえに、均一であるかを安定して検出できるために、強力なローディングコントロールとして注目されています。
2. ハウスキーピングタンパク質
比較するサンプル間で安定的に発現しているハウスキーピングタンパク質に対する抗体を用いて、ターゲットタンパク質と同様に検出します。 この場合は、あらかじめその実験条件下で安定して発現していることを確認する必要があります。 また、ターゲットタンパク質とは異なる分子量のタンパク質であるのが望ましいのですが、具体的にどうやってハウスキーピングタンパク質を選択するのが良いか迷うこともあります。
そんな時には、 ハウスキーピングタンパク質(Loading Controls)の情報サイト をご参照ください。サンプルの種類別にハウスキーピングタンパク質のリストが、分子量の情報付きで紹介されています。 また、ハウスキーピングタンパク質は一般に高い発現量であるため、ターゲットタンパク質よりも非常に強いシグナル(飽和したシグナル)として検出されてしまうことがあります。 飽和したシグナルとして検出されてしまうと、定量的な解析には用いることができないので、あらかじめ抗体希釈倍率の予備実験、アプライタンパク量の予備実験も行うのが望ましいです。
関連情報
ハウスキーピングタンパク質(Loading Controls)の情報サイト
ハウスキーピングタンパク質の発現の安定性を確認する予備実験の方法(PDFファイル, Bulletin 6366)
 Validating the Exression Consistency of a Housekeeping Protein
抗体希釈倍率の予備実験の方法(PDFファイル, Bulletin 6359)
 Avoiding Housekeeping Protein Detection Saturation
アプライタンパク量の予備実験の方法(PDFファイル, Bulletin 6362)
 Determining the Appropriate Sample Load of Western Blots
ハウスキーピングタンパク質を使う場合の注意点を論じている論文リスト(PDFファイル, Bulletin 6350)
 Research Papers on the Pitfalls of Using HKP as Loading Controls in Western Blots
バックナンバー: 蛍光ウェスタンブロッティングをより身近に - 新しい蛍光色素がもたらす革新 - (2017/5/26)
Sample type  Loading contol
(クリックすると抗体サイトが開きます)
Molecular weight
(kDa)*
詳細情報
(UKサイトが開きます)
Whole cell/cytoplasmic Alpha actin 43 Alpha actin抗体(MCA5781GA)
Alpha tubulin 55 Alpha tubulin抗体
Beta actin 43 Beta actin抗体
Beta tubulin 55 Beta Tubulin抗体(MCA2703)
Cyclophilin A  18 Cyclophilin A 抗体
GAPDH 37 GAPDH抗体
Vinculin 116 Vinculin抗体(MCA465GA)
Mitochondrial HSP60 60 HSP60抗体
VDCA1/porin 31 VDCA1/porin抗体(AHP1415)
Nuclear Histone H1/ H3 Histone H1抗体(4974-7808) /
Histone H3抗体(AHP1027)
Lamin B1 66 Lamin B1抗体
PCNA 29 PCNA抗体
TATA binding protein(TBP) 38 TATA binding protein(TBP)抗体
Serum Transferrin 77 Transferrin抗体
*The exact molecular weight might vary from species to species  

いずれの方法でも、ローディングコントロールのシグナルから、ターゲットタンパク質のシグナルを補正することにより、より正確なウェスタンブロッティングを行うことができます。バイオ・ラッドのイメージャーに付属する Image Lab ソフトウェアを用いれば、どちらの方法でもシグナル強度の補正まで実施することができます。

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