このコーナーでは、定期的にバイオ・ラッドの新製品や技術情報のトピックをご紹介します。
唯一HIVが完治した「ベルリン患者」として知られるティモシー・レイ・ブラウン氏は、HIVと白血病を罹っていました。白血病の治療に際しブラウン氏は、CCR5-Δ32変異を持つドナーからの骨髄幹細胞移植を受けます。 CCR5は、HIVが細胞に侵入し感染するために必要な主要受容体で、CCR5-Δ32変異により受容体は不活性になり細胞はHIV耐性を獲得します。2007年と2008年に移植を完了した後、ブラウン氏は抗ウイルス薬の服用やめ、以来HIVの感染は認められていません。
カリフォルニアのリッチモンドにあるSangamo BioSciences社はゲノム編集技術を用いたHIVの細胞治療研究を進めています。患者から採取したCD4+ T-Cellに対し、ゲノム編集によりCCR5遺伝子をノックアウトさせることで細胞にHIV耐性を獲得させ、それを再び患者に戻すという治療戦略での治験が進んでいます。この治療法の開発に当たっては身体に潜伏しているHIV遺伝子の正確な定量が不可欠でした。
Sangamo社ではプローブ法を用いたリアルタイムPCRによる定量を行っていましたが、低コピーのHIV遺伝子の測定において満足のいく結果が得られていませんでした。Sangamo社の開発チームは、信頼性のある臨床研究のためには、採取した血液や他のリンパ系の検体中のHIV遺伝子の、より高感度で正確な定量方法が必要であることを明らかにします。そしてその答えを提供したのが、様々な配列が混在する複雑なサンプル中に、ごく僅かにしか存在しない目的の遺伝子配列を、鋭敏に検出することができるDroplet Digital PCR(ddPCR™)技術でした。
今回ご紹介した記事の詳細はこちらからご覧いただけます。
Droplet Digital™ PCR Opens New Perspectives in HIV Research (Bulletin 6318) |
QX200 Droplet Digital PCR システムの製品紹介
※当該製品は研究用機器であり、医療機器ではありません。
製品紹介:QX200 Droplet Digital PCR システム |
Droplet Digital PCR 論文データベース |
Droplet Digital PCR 論文リスト |
日本国内のユーザー様からの論文報告のご紹介 |
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