このコーナーでは、定期的にバイオ・ラッドの新製品や技術情報のトピックをご紹介します。

ウェスタンブロッティングにおいて、ゲルからメンブレンに転写する工程は、実験の成否を左右する重要なステップとなります。しかし、タンパク質には分子量やアミノ酸組成の異なる様々な種類が存在するため、そのすべてをメンブレンに転写する万能な転写装置や転写バッファーというものは存在しません。汎用性の高い転写条件を適用すれば大多数のタンパク質を転写することはできますが、ターゲットとなるタンパク質によっては転写バッファーや転写電気条件の最適化が必要となることもあります。

セミドライ式やタンク式の転写装置で用いられる一般的な転写バッファーとして、Towbin バッファー( 25 mM トリス、192 mM グリシン、20% メタノール、pH 8.3)が知られています。この Towbin バッファーにもバリエーションがあり、少量の SDS を添加したり、メタノール濃度を変えたりしたバッファーが用いられることもあります。少量の SDSを添加することでゲルからのタンパク質の溶出が促進されますが、逆にメンブレンへの結合効率は低下してしまいます。逆にメタノール濃度を上げることでメンブレンへのタンパク質結合性は高められますが、ゲルからの溶出効率は低下してしまいます。

このように SDS とメタノールは互いに相反する効果があるため、一概に Towbin バッファーと言っても、目的に応じた組成かどうか注意が必要です。また、その他にも様々な用途の転写バッファーがありますが、詳細はApplications & Technologiesの資料サイトをご参照ください。

ゲルの種類に応じた転写バッファー、メンブレン選択の目安
ゲルタイプ 転写バッファー メンブレン 備考
SDS-PAGE Towbin (必要に応じてSDSを添加), CAPS, 炭酸, Bjerrum Schafer-Nielsen バッファー PVDF, ニトロセルロース, サポート付ニトロセルロース
(0.45 or 0.2 µm)
タンク式、セミドライ式のどちらでも可
トリス-トリシン系SDS-PAGE Towbin, CAP バッファー PVDF, ニトロセルロース, サポート付ニトロセルロース
(0.2 µm)
タンク式が推奨される
ポアサイズの小さいメンブレンが良い
バッファーのpHが重要
2次元電気泳動ゲル Towbin (必要に応じてSDSを添加), CAPS, 炭酸, Bjerrum Schafer-Nielsen バッファー PVDF, ニトロセルロース, サポート付ニトロセルロース
(0.45 or 0.2 µm)
タンク式、セミドライ式のどちらでも可
Native, 非変性タンパク質ゲル ゲルバッファーの pH と目的タンパク質の pI に応じて選択 PVDF, ニトロセルロース
(0.45 or 0.2 µm)
タンク式が推奨される
活性を維持するためには温度制御が必要
Acid urea ゲル 0.7% 酢酸 ニトロセルロース
(0.45 or 0.2 µm)
タンク式、セミドライ式のどちらでも可
酸性ゲルを転写するプロトコールを使用
(メンブレンは陰極側にセット)
等電点電気泳動ゲル 0.7% 酢酸 PVDF, ニトロセルロース, サポート付ニトロセルロース
(0.45 or 0.2 µm)
タンク式、セミドライ式のどちらでも可
酸性ゲルを転写するプロトコールを使用
(メンブレンは陰極側にセット)
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