界面活性剤と還元剤を含むサンプルは通常のBradford法やLowry法では定量できませんが、次のような方法であれば等電点電気泳動用の膨潤サンプルバッファーに溶解したサンプルでもタンパク定量を行うことができます。
いずれの方法でも、まずはサンプルと同じバッファーで希釈して調製したスタンダード溶液の定量を行い、検量線に直線性があることを確認した上でサンプルの定量を行うことをお勧めします。
・RCDCプロテインアッセイキット(カタログ番号 500-0120JA)
Lowry法に基づいたDCプロテインアッセイキット(カタログ番号 500-0116JA)を改良した方法です。バッファー交換を行って定量するので、還元剤を含むサンプルにも対応可能です。
・Bradford法の塩酸を添加する変法
以下のようなプロテインアッセイキット(カタログ番号 500-0006JA)の変法により定量することができます。
1) プロテインスタンダード I(ウシγグロブリン)を溶解します。凍結乾燥したプロテインスタンダード I に精製水を2ml 加えて溶解します。ラベルには20ml の精製水で溶解するように記載されていますが、2ml で溶解することで約14mg/ml のタンパク質溶液を作成します。
2) プロテインアッセイキットの染色液を5倍希釈します。染色液に4 倍容量の精製水を加え、Whatman#1 ろ紙あるいは同等品でろ過して微粒子を除きます。この溶液は室温で2週間保存可能です。 (染色液は室温に戻してからご使用ください。)
3) 0.12N HCl を調製します。濃塩酸を100 倍希釈して0.12N HCl(理論値)を作成します。
4) 検量線を作成するために使用するスタンダードの準備をします。3-5 段階の濃度のタンパク質溶液を作成します。0.2-14mg/ml の範囲で直線性を示します。検量線は測定の度に作成してください。タンパク質溶液の定量は一般的にデュプリケートまたはトリプリケートで行います。
5) サンプルまたはスタンダード20ul に対して80ul の0.12N HCl を混合します。
注:試薬の混合の順序を遵守してください。0.12N HCl を先に染色液と混ぜると吸光度が高くなり定量できない可能性があります。
6) 染色液をよく混ぜて、サンプルまたはスタンダードに染色液3.5mlを加えてボルテックスによってよく混合します。
7) 室温で5分間インキュベートします。
8) 595nm で吸光度を測定します。