シングルパラメーター, 単変量ヒストグラム
(Single-parameter or univariate histograms)

[English version]

X軸に一つの測定パラメーター(蛍光または散乱強度)を、Y軸にイベント数(細胞数)を示したものをヒストグラム(Histogram)と呼びます。 データは、収集されたすべてのデータ、または選択された(ゲーティングされた)集団として表示されます。 これはサンプル中の特定の物理的性質を有する細胞の総数や、目的とするマーカー分子の発現量を評価するのに便利です。 目的の特性を有する細胞を陽性データセットと呼びます。 一例を図15に示します。まず前方散乱および側方散乱を用いてリンパ球をゲーティングし、その集団のCD3発現量をヒストグラムで表示しています。CD3の陽性と陰性のデータセットとして解釈できる2つのピークがあります。 この例では、CD3陽性T細胞は、リンパ球ゲート内の細胞の約61%を占めます。

正確さの向上(Gaining Accuracy)

陽性データセットを正確に同定するためには、適切なコントロール[第4章参照]を用いてフローサイトメトリーを繰り返す必要があります。 これは、単一のピークが観察される場合に特に必要ですが、フローサイトメトリーでは、サンプルに複数の細胞集団が混在しているため、しばしば複数のピークが観察されます。 図15Bで示したように、染色された陽性データセット(赤)上に、青色のコントロールヒストグラム(この場合はアイソタイプコントロール)を重ねて示すことで、バックグラウンド染色レベルを正確に定義することができます。
解析ソフトウェアを使用することで、細胞数とゲート内の細胞の割合に加えて、多くのパラメーターについて測定値と統計値を取得することができます。統計値には、蛍光のわずかな増加または減少がある場合にしばしば使用される中央値や平均蛍光強度(MFI)などがあります。