抗体価の測定
(Antibody titration)

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マルチカラーパネルを構築する際のもう一つの重要な考慮すべき事項は、抗体価の測定(Antibody titration)です。 過剰な抗体は、低親和性であっても結合し、分解能を低下させるバックグラウンドシグナルとなり、結果があいまいにします。 加えて、大過剰な抗体は、偽陰性プロゾーン効果(False Negative Prozone Effect)を生ずることがあります。 したがって、特定のサンプルに必要な抗体量を決定することが重要です。 アイソタイプコントロールを使用する場合は、必ず同じ濃度で使用してください。 最良の抗体濃度を決定するために、陰性集団の標準偏差の2倍で割った陽性集団と陰性集団との間の分離の比として定義される染色指標(Stain index:SI)を目安として使用することができます。

(*):プロゾーン効果(現象):抗体または抗原のいずれかが過剰な時、特異抗原と抗体の反応が起こらなくなる現象およびそれによる偽陰性の効果

抗体価の測定(Antibody Titration)では、同じ数の細胞を同じ容量で染色するまで抗体を希釈します。 最良のStain indexを表す希釈は、使用するための希釈です。 以下のグラフでは、緑色のボックス(図31)内の点は、最小量のバックグラウンドで特定の染色が可能な最良の濃度を表しています。 したがって、抗体価の測定により、実験を改善することができ、メーカーの指示書に記載されている濃度より少ない抗体濃度を使用することでコスト削減にもなります

便利なツール

パネル設計に役立つ便利なツールがあります。 スペクトルビューアは、各レーザーの漏れ込みと励起の量を調べるのに役立ちます。 相対輝度テーブルは、蛍光色素とターゲットの組み合わせに関する情報を提供し、マーカー発現データは発現パターンを決定するのに役立ちます。 パネル構築のウェブサイトはパネル設計に役立ち、最適化されたマルチカラー免疫蛍光パネル(OMIPS, Optimized multicolor immunofluorescence panels)の例も公開されており、パネルデザインにも役立ちます。

最後に、蛍光色素の利用可能性、使用するサイトメーター、使用している細胞、および利用可能な抗体のために妥協せざるをえない場合があることを覚えておいてください。 複数のパネルを組み合わせることが必要な場合がありますが、これらのルールに従えば、必要な時間と労力を削減できます。