このコーナーでは、定期的にバイオ・ラッドの新製品や技術情報のトピックをご紹介します。
腸管上皮細胞間のタイトジャンクションは腸管内部環境から基底膜側への物質透過性に関して重要なコンポーネントとされており、腸管上皮のタイトジャンクションの研究モデルとしてCaco-2細胞が利用されています。siRNAテクノロジーを適用も考えられますが、残念ながらCaco-2細胞はトランスフェクションしづらく、siRNAの応用が難しいと言われています。Caco-2細胞への導入後、プレーティングして、タイトジャンクションの機能を持つまでには通常1週間程度必要とされており、一方siRNAの半減期は4日間未満と言われています。そのためCaco-2細胞への今までの遺伝子導入法ではsiRNA実験が不十分とされていました。
バイオ・ラッドのsiRNA用リポフェクション試薬であるsiLentFectを用いてMLCK(ミオシン軽鎖キナーゼ)遺伝子に対するsiRNAをCaco-2細胞への導入後、4日後から回収した細胞でも十分なサイレンシング効果が持続していることを確認できました。MLCKを抑制することでタイトジャンクションの透過性が上昇することが考えられ、実際にタイトジャンクションの透過性の指標として実施されるTER(transepithelial resistanace)測定法でMLCKをノックダウンすることで透過性が上昇していることを確認できました。