エレクトロポレーション 全般に関する質問集

質問 ID: 1052

市販のエレクトロポレーション用のコンピテントセルでは問題なく遺伝子導入できるのですが、自作のコンピテントセルではうまく遺伝子導入できません。 何が原因ですか?

回答

エレクトロポレーション用のコンピテントセルは、ヒートショックによる遺伝子導入用コンピテントセル(ケミカル用)と細胞濃度やバッファー組成が異なります。

以下の大腸菌のエレクトロポレーション用コンピテントセルの作製方法の一例を、ご参照ください。


1)オーバーナイトで培養したE. coli 5mlを2.8Lフラスコ内の500ml L-Brothへ加えます。

2)37℃、300rpmで振盪培養し、OD 600 を0.5~0.7程度になるまで培養します。
対数増殖期の前半で細胞を採取することで、高い導入効率を得ることができます。適切な細胞密度は系統や培養条件により異なりますが、4~5×10^7cells/ml程度が望ましいとされています。

3)細胞を氷上に20分程度おきます。これ以降、細胞は常に0℃前後で取り扱います。細胞を入れる容器は事前に氷上で冷却しておきます。細胞を氷冷済みの500ml遠沈管へ移し、4℃、4000×gで15分間遠心分離します。

4)静かに上清を取り除きます。上清が残ってしまうよりも、ある程度の量の細胞を上清とともに取り除いてしまう方が、良い結果を得ることができます。

5)ペレットを氷冷した10%グリセロール500mlに静かに懸濁します。4℃、4000×gで15分間遠心分離し、上清を静かに廃棄します。

6)ペレットを氷冷した10%グリセロール250mlに再懸濁します。4℃、4000×gで15分間遠心分離し、上清を静かに廃棄します。

7)ペレットを氷冷した20ml 以下の10%グリセロールに再懸濁します。4℃、4000×gで15分間遠心分離し、上清を静かに廃棄します。

8)ペレットを氷冷した1~2mlの10%グリセロールに再懸濁します。細胞の濃度が1~3×10^10cells/mlになるようにします。

9)この懸濁液を適当に分注した後、ドライアイスで凍結し、-70℃で保存します。細胞はこの状態で6ヶ月間保存できます。