エレクトロポレーション用のコンピテントセルは、ヒートショックによる遺伝子導入用コンピテントセル(ケミカル用)と細胞濃度やバッファー組成が異なります。
以下の大腸菌のエレクトロポレーション用コンピテントセルの作製方法の一例を、ご参照ください。
1)オーバーナイトで培養したE. coli 5mlを2.8Lフラスコ内の500ml L-Brothへ加えます。
2)37℃、300rpmで振盪培養し、OD 600 を0.5~0.7程度になるまで培養します。
対数増殖期の前半で細胞を採取することで、高い導入効率を得ることができます。適切な細胞密度は系統や培養条件により異なりますが、4~5×10^7cells/ml程度が望ましいとされています。
3)細胞を氷上に20分程度おきます。これ以降、細胞は常に0℃前後で取り扱います。細胞を入れる容器は事前に氷上で冷却しておきます。細胞を氷冷済みの500ml遠沈管へ移し、4℃、4000×gで15分間遠心分離します。
4)静かに上清を取り除きます。上清が残ってしまうよりも、ある程度の量の細胞を上清とともに取り除いてしまう方が、良い結果を得ることができます。
5)ペレットを氷冷した10%グリセロール500mlに静かに懸濁します。4℃、4000×gで15分間遠心分離し、上清を静かに廃棄します。
6)ペレットを氷冷した10%グリセロール250mlに再懸濁します。4℃、4000×gで15分間遠心分離し、上清を静かに廃棄します。
7)ペレットを氷冷した20ml 以下の10%グリセロールに再懸濁します。4℃、4000×gで15分間遠心分離し、上清を静かに廃棄します。
8)ペレットを氷冷した1~2mlの10%グリセロールに再懸濁します。細胞の濃度が1~3×10^10cells/mlになるようにします。
9)この懸濁液を適当に分注した後、ドライアイスで凍結し、-70℃で保存します。細胞はこの状態で6ヶ月間保存できます。