アクリルアミドの純度はゲルの分離能を決定する重要なファクターです。一般的に分離能に影響を与える不純物としては、アクリル酸やアクリルアミドリニアー、各種イオン等があげられます。
1)アクリル酸
アクリル酸はアクリルアミドの脱アミド生成物で、アクリルアミドやビスと共重合する性質を持っています。
ゲル中にアクリル酸が存在すると、ゲルの一部がイオン化してしまうことになり、局部のpH変化が生じ、結果として移動度の変化やバンドの歪みや拡散、時としてゲル内での試料成分の沈殿などが発生することとなります。
2)アクリルアミドリニアー
触媒作用のあるものが混入していると、アクリルアミドが数個連なったアクリルアミドリニアーが形成されます。
これによって、ゲルの均一性が失われるため、移動度に影響を及ぼします。その他、イオンの混入や重合促進剤の純度等により、アクリルアミドの重合反応は微妙に影響され、分離能にも影響を与えます。
3)イオン性不純物
イオン性不純物には、重合を阻害するものがあります。アクリル酸以外に重要視されるのが銅のような金属で、重合を阻害することがわかっています。また、金属は酵素に影響したり、カルモジュリンのような金属結合性タンパク質の移動度を変えてしまう恐れもあります。
[ゲル作成用試薬] [アクリルアミド] 劣化するとどうなるのですか? |