このコーナーでは、定期的にバイオ・ラッドの新製品や技術情報のトピックをご紹介します。

サンプルのタンパク質濃度を正確に把握することは、タンパク質関連の実験を始めるうえで重要な第一歩目となります。タンパク質の定量方法として、紫外吸光度法、Bradford法、Lowry法など様々な手段が知られていますが、どんなサンプルにも対応できる万能なタンパク質定量方法は存在しません。必ずサンプルに含まれるバッファー成分(共存許容濃度)を考慮して、適切なタンパク質定量方法を選択する必要があります。

バイオ・ラッドからは、Bradford 法に基づく「Quick Start プロテインアッセイ」「プロテインアッセイ」、Lowry法に基づく「DCプロテインアッセイ」「RCDCプロテインアッセイ」を販売しております。どの方法を選択するかについては、TechBriefのバックナンバー「いまさら聞けないプロテインアッセイキットの使い分け方法」共存許容濃度の一覧表をご参照ください。では、この共存許容濃度の一覧表に掲載されていないバッファー成分についてはどう判断すればよいのでしょうか?

このような場合には、タンパク質スタンダードを問題のバッファーで希釈した検量線の希釈列を用意し、いつものように精製水で調製した希釈列と検量線を比較してみてください(図参照)。問題のバッファーで調製した希釈列でも、精製水で調製した場合と同様の検量線が得られれば発色に干渉しない成分だと判断することができます。また、部分的な干渉であれば問題のバッファーで調製した希釈列を検量線に用いることで、発色への影響を補正することもできます。さらに、問題のバッファーを少なくとも何倍希釈すれば定量可能となるかの判断にも、この図のような予備実験が有用となります。

ここではRIPAバッファーを例に示しますが、界面活性剤を高濃度に含むRIPAバッファーを原液のまま Bradford法で定量すると、ブランクでも発色してしまい定量性が著しく低下してしまうのに対して、Lowry法で定量するとRIPAバッファーで希釈した検量線でもほとんど影響なく定量できることが分かります(注)。共存許容濃度の一覧表に掲載されていない成分を含むバッファーについては、あらかじめこのような予備実験を行った上で、適切なタンパク質定量方法やバッファー希釈倍率を選択するようにしてください。

(注)RIPAバッファーに種々の阻害剤(プロテアーゼ、フォスファターゼ)を添加すると複合的に発色に影響し、定量性が大きく低下することがあります。このような場合は、あらかじめ妨害物質を除去してLowry法で定量する RCDCプロテインアッセイの使用が推奨されます。

タンパク質定量におけるRIPAバッファーの影響
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