このコーナーでは、定期的にバイオ・ラッドの新製品や技術情報のトピックをご紹介します。

TGX Stain-Freeゲルとは、Gel Doc Goなどのバイオ・ラッド イメージャーと組み合わせることにより、CBB染色や銀染色などといった染色処理を行わなくてもゲル中のバンドの位置の可視化や、膜上への転写後にもバンド位置を可視化することできるプレキャストゲルです。その活用法については、これまでにも何回かご紹介してきましたが、今回はGeLC-MS解析への応用例をご紹介します。 GeLC-MS解析とは、プロテオーム解析の手法の一つで、細胞抽出液など複雑多様なタンパク質を含むサンプルをSDS-PAGEにより分子量で分画し、各ゲル片をin-gel 消化後に抽出してLC-MS同定するものです。膜タンパク質など溶解度の低いタンパク質の解析にも活用されています。従来の手法では、電気泳動後に染色や脱色のステップを経て、ゲルを切り出すための部位を可視化する必要がありました。

ここでご紹介する実施例ではマウスの培養細胞抽出液のGeLC-MS解析による網羅的タンパク質同定を試み、TGX-Stain-FreeゲルおよびGel Doc EZを用いた方法(下図・左)を行っています。並行して行った従来法(下図・右)と比べて、操作時間・ステップ数を短縮できた上に、ほぼ同数のタンパク質/ペプチドを同定できたことを示しています。 TGX Stain-Freeゲルを用いた方法では、酢酸やアルコールなどによる固定操作も不要ですし、ステップが少ないことでコンタミネーションの可能性を下げることにもつながることでしょう。

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図: Stain-Freeゲルを用いたGeLC-MS実験の流れ

50ugのマウス培養細胞抽出液をCriterion 4-15% TGX Stain-Freeゲル(左)と、4-15% Tris-HClゲル(右)で電気泳動し、それぞれのゲルからGel Doc EZ(左)を用いた可視化と、Coomassie 染色/脱色による可視化を行いました。