このコーナーでは、定期的にバイオ・ラッドの新製品や技術情報のトピックをご紹介します。

 目的タンパク質の発現変動を比較解析するウェスタンブロッティングでは、ターゲットのバンドを定量性のあるシグナル(ダイナミックレンジの範囲内)として検出する必要があります。しかし実際の論文などでは、目的タンパク質のバンドは定量的に検出できていても、ハウスキーピングタンパク質(HKP)のバンドは飽和してしまっている例がよく見受けられます。HKPとはいえシグナルが飽和してしまっていては、ターゲットの比較が適切に行えていることを担保するデータ(ローディングコントロール)とはなりません。

定量的なデータを得るためにはいくつかのポイントをおさえておく必要がありますが、今回の技術資料では抗体の希釈倍率の最適化によって定量性あるデータを得るためのコツをご紹介しています。抗体の希釈倍率の検討にあたっては、バイオドットなどを用いてメンブレンにサンプルを直接ブロットしたもので簡易的に検討する方法もありますが、電気泳動で分離せずに検出する方法だと、特異的なバンドであることを分子量から判断することができません。

この技術資料ではサンプルを各レーンに等量泳動し、レーンごとにカットしたメンブレン片を用いて抗体の希釈倍率を検討する方法をご紹介しています(Method 2)。このような方法を用いれば目的タンパク質のシグナルであることをバンドのサイズから確認しながら比較できるので、より実際のウェスタンブロッティングに近い条件で抗体の希釈倍率の最適化を行えるようになります。

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この図の例では 10,000倍希釈した抗体を用いるのが最適と考えられます。

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