このコーナーでは、定期的にバイオ・ラッドの新製品や技術情報のトピックをご紹介します。
SDS-PAGE はタンパク質を分子量に応じて分離する手法であり、タンパク質精製、ウェスタンブロッティングなど様々な目的で行われます。その一連の実験のなかで、検出したバンドの分子量を計算することも多くありますが、分子量計算の基本原理を理解せずに、画像解析ソフトのデフォルト設定のままで行ってしまうと、誤差の多い分子量値となってしまう恐れがあります。
今回ご紹介します技術資料(Bulletin 3133)では、SDS-PAGE による分子量計算の基本的な手順が紹介されています。このような基本的な考え方は方眼紙にプロットして計算する場合だけではなく、ImageLab や Quantity One のようなソフトウェアを使用して分子量を求める場合にも応用できる内容となっています。
分子量スタンダードの各バンドについて、分子量の対数(log MW) に対して Rf 値をプロットしグラフを作成します。使用したゲルや分離パターンに応じて、適切な近似式をあてはめます。
多くの場合、均一ゲルでのプロットはシグモイド状になるので、一次回帰式で近似する場合は外れ値となるプロット(主に高分子量側)を計算対象から除外します。
分子量スタンダードの回帰式に基づいて、未知サンプルバンドの分子量を計算します。
なお、タンパク質のなかには塩基性アミノ酸や酸性アミノ酸が極端に多いものもあり、SDSの結合量が標準的なタンパク質とは異なり、分子量から予想される移動度とは異なる挙動を示すタンパク質もあります。また糖鎖などの翻訳後修飾によって見かけ上の移動度が影響されることもあり、SDS-PAGE による分子量の計算においては、このような誤差も考慮した解釈が必要となります
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