フローサイトメトリーのイノベーション
(Innovations in flow cytometry)

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機器の設定の複雑さの低減、自動化や感度の向上、ユーザーフレンドリーなソフトウェアにより、研究者はフローサイトメトリーをより利用しやすくなっています。 利用できる蛍光色素や抗体の増加、さらにプロトコールの改善によって、ますます多くの研究者に利用されています。 蛍光マーカーを用いたマルチカラーフローサイトメトリーは研究において最も強力なツールの1つですが、いくつかの新しいイノベーションがあります。

イメージングフローサイトメトリー(Imaging Flow Cytometry)

イメージングフローサイトメトリーでは、粒子がレーザーを通過する際にCCDカメラで撮影します。 スペクトルが異なる複数の画像を同時に捉えることができるため、そうした画像を統合することで抗原の局在性の解析が可能です。

マスサイトメトリー(Mass Cytometry)

もう1つのイノベーションはマスサイトメトリーです。 例えば、バイオ・ラッドのZE5™ Cell Analyzerのように、複数のレーザーを導入することにより、前方および側方散乱に加えて、27ものパラメーターを検出することができるフローサイトメーターでは、蛍光フローサイトメトリー実験の情報量を大幅に増加させました。 それでも、マスサイトメトリーは135チャンネルで検出する能力を有し、マルチプレックスパネルを構築することが可能で、現在、細胞あたり40個を超えるマーカーを測定することができます。

マスサイトメトリーは、金属同位体に結合した抗体でサンプルを標識しますが、検出器に向かって電場を飛行する時間を計測することにより、それぞれの同位体を区別できることを利用しています。大きな同位体ほど時間がかかります。 マスサイトメトリーではデータの取得に時間がかかり、細胞が気化する場合にのみ解析が行えますが、蛍光の漏れ込みや補正(コンペンセーション)に関する問題は少なくなります。 しかしながら、1つのセル上に収集することができるパラメーターの数のために、サンプルの解析には特別なソフトウェアを必要とするので、時間がかかり問題となる可能性があります。