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生体の恒常性維持のために不要となった細胞を排除するアポトーシスには、様々なシグナル伝達因子やプロテアーゼが関与しています。大きく分けると、細胞外からのデスレセプターを介した外部経路と、DNA損傷など内部刺激に応じてミトコンドリアを介した内部経路があり、どちらもカスパーゼと総称されるプロテアーゼによるカスケードが中心的な役割を担っています。
アポトーシスの解析には様々な手法がありますが、どの段階の変化を検出するかによって、捉えることのできる経路や段階が異なります。そのため、複数の解析方法を組み合わせることで、より詳しくカスケードの流れを捉えることができます。
カスパーゼの活性化検出は、抗体を用いる方法とカスパーゼの基質を用いる方法があります。抗体を用いる方法では、未切断の前駆体もしくは(及び)切断後の活性型を検出できる抗カスパーゼ抗体により確認することができます。またカスパーゼの基質を用いる方法では、活性型カスパーゼと不可逆的に結合する FLICA™プローブを用いることにより、フローサイトメーターや蛍光顕微鏡で活性型カスパーゼを検出することができます。複数のカスパーゼに対する FLICA キットを使用すれば、より確実にカスパーゼの活性化を捉えることができます。
アポトーシスが起こる際、ミトコンドリア膜透過性が亢進し、膜電位が消失するとともに、シトクロムc 等のアポトーシス誘導因子が細胞質中に放出されます。
ミトコンドリア膜電位の消失は、TMRE, TMRM, JC-1 といった膜電位感受性色素を用いて、フローサイトメーターや蛍光顕微鏡等で観察することができます。
生細胞を用いた経時的なイメージングにより、アポトーシスの過程で生じるアポトーシス小体をリアルタイムに観察することができます。
また、DAPI, Hoechst, PI, 7-AAD などの核酸蛍光染色試薬により、核の断片化の様子をフローサイトメーターや光学顕微鏡で観察することもできます。
<DNA 断片化> DNA 断片化は、アポトーシスの後期段階の特徴の1つであり、アガロースゲル電気泳動を用いた DNAラダー検出の他に、TUNEL(terminal deoxynucleotidyl transferase dUTP nick end labeling) 法によって分析することができます。TUNEL 法では、TdT(Terminal deoxynucleotidyl transferase)という酵素を用いて、DNA の開裂により生じた 3'-OH 基に BrdU を付加します。取り込まれた BrdU は、蛍光標識した抗 BrdU 抗体を用いてフローサイトメーターや蛍光顕微鏡により検出することができます。
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