このコーナーでは、定期的にバイオ・ラッドの新製品や技術情報のトピックをご紹介します。

リアルタイムPCRでのスループットを向上させるために、試薬調製をオートメーション化するケースが増えつつありますが、通常オートメーション化で問題となるのは複数のプレートを一度に調製するために、調製後の反応液が室温に置かれる時間がマニュアルで調製するときよりも長くなってしまうことです。そこで反応が始まる前、室温状態では非特異的な反応が起きないようにポリメラーゼに工夫を行う、Hot Start PCRが利用されています。

新しいリアルタイムPCR用試薬のSsoFast EvaGreen Supermixでも95℃の熱を加えるまでは抗体がポリメラーゼに結合して反応を抑える仕組みで、室温状態での非特異的な反応を抑えています。今回ご紹介する技術資料では、そのSsoFast EvaGreen Supermixとホットスタート機能を除いた同等の試薬を用いて、ダイマーができやすいプライマーセットまたはダイマーができにくいプライマーセットで検証を行っています。

SsoFast EvaGreen Supermixは試薬調製後室温に48時間インキュベートしたプレートと直前に調製したプレートで比較しても同様の結果(増幅効率、ダイナミックレンジ、特異性、スレッショルドサイクル)が得られています。室温でのインキュベーションの性能の安定性は試薬調製のオートメーション化で重要となるポイントですが、SsoFast EvaGreen Supermixはすぐれた安定性を持つリアルタイムPCR試薬といえます。