このコーナーでは、定期的にバイオ・ラッドの新製品や技術情報のトピックをご紹介します。
培養細胞での遺伝子発現解析では、しばしば細胞数が限られていることが問題になることがあります。その理由としては、リアルタイムPCRでの解析を行うためのサンプル調製では、細胞の培養から回収をはじめとして複数の操作を行う必要があり、そのうち、特に細胞の回収とRNAの精製ステップが律速段階となっていました。RNA精製に旧来のフェノール/クロロフォルム抽出とエタノール沈殿を用いる方法や、カラムを使用する方法では手間も時間も要するため、多数のサンプルによる実験を行うことを難しくしていました。
今回ご紹介する技術資料では、ベルギーのゲント大学のDr. Jo Vandesompeleらによる、SingleShot SYBR Green Kitの評価実験の結果を示しています。このキットは、10個から最大100,000個の培養細胞から、RNA精製のステップなしにRT-qPCR用のサンプル調製を行うものです。
資料では、SH-EP, SK-N-AS, NGP, IMR-32といった複数種のNeuroblastoma細胞を96ウェルプレートに培養し、それらから正確で、かつ再現性の高い、RT-qPCRによる遺伝子発現解析が行えたことを示しています。