このコーナーでは、定期的にバイオ・ラッドの新製品や技術情報のトピックをご紹介します。

 二次元電気泳動は分解能が非常に優れているので、タンパク質の電気泳動法の一つとして定着した実験手段となっています。しかし、1次元のSDS-PAGEに比べると、泳動結果を左右する因子が多くあり、きれいな泳動結果を得るためには、様々な条件検討が必要になります。
新しいバイオ・ラッドの等電点電気泳動装置プロティアン i12 IEF セルなら、12レーンの電源を独立コントロールしており、複数の条件検討(抽出バッファーなど)を一度に行うことができます。

今回ご紹介します技術資料(Technical Bulletin 6138)では、酵母ミトコンドリアの二次元電気泳動にあたって、変性剤の種類、界面活性剤の種類、アンフォライトの最適濃度、フォーカシングプロトコールの検討をまとめて実施しています。その結果、わずか2回の泳動で最適な膨潤サンプルバッファーを決定し、短めのフォーカシング時間でも十分であることを確認しています。従来からの等電点電気泳動装置(全てのレーンを1つの電源でコントロール)で同様の条件検討を実施しようとすると、12通りの泳動を行う必要があり、2週間以上を要してしまうところでした。これでは条件検討に躊躇してしまって、比較的無難な泳動条件だけでOKだと考えても無理はありません。
このように異なる泳動条件のサンプルでも一度に泳動することができるプロティアン i12 IEF セルは、従来までは時間的制約からあきらめていた「泳動条件の最適化」を、実際に行う性能を持った初めての等電点電気泳動装置だといえます。

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検討結果の一例: 上段:泳動結果の拡大図, 下段:泳動中の電圧の変動
キャリアアンフォライトの濃度は、0.2% よりも 0.6% の方が、多くのスポットが明瞭に確認されています。