このコーナーでは、定期的にバイオ・ラッドの新製品や技術情報のトピックをご紹介します。
エンドトキシンは、グラム陰性細菌の細胞壁にあるLPS(リポ多糖類)であり、発熱を引き起こすものとして知られています。医薬品の製造過程において、確実に除去する必要がある不純物の1つです。
ポリミキシン担体のような、エンドトキシンを特異的に吸着させる担体を用いて除去する方法もありますが、医薬品製造などのプロセススケールの精製工程では、コスト面や効率などからより効果的な除去方法が検討されています。
この技術資料では、プロセススケールでのタンパク質の精製において、エンドトキシンの除去に適した担体の紹介と特徴の説明を行っています
〔陰イオン交換クロマトグラフィー担体〕 エンドトキシンは、負の電荷を持っているため、陰イオン交換担体に結合します。 我々は、20種類の強陰イオン交換担体 を用いて、あるタンパク質(Protein X、分子量15.4 kDa, pI 6.5)の精製をした時に残存するエンドトキシンを測定したところ、Macro-Prep HighQが最も低い値となりました。
バイオ・ラッドには、そのほかにタンパク質の吸着量が高いNuvia Qや、高流速でも吸着量を保つことができるUNOsphere Qなど、用途に合わせた強陰イオン交換担体をご用意しています。
〔陽イオン交換クロマトグラフィー〕 エンドトキシンが負の電荷を持つことから、陽イオン交換担体を用いて、ターゲットのタンパク質を吸着させ、エンドトキシンをフロースルーに溶出させる方法もあります。
同じ原理で疎水クロマトグラフィーと陽イオン交換クロマトグラフィーのミックスモード担体であるNuvia cPrimeを用いることも可能です。
〔ミックスモードクロマトグラフィー〕 エンドトキシンは、セラミックハイドロキシアパタイト(CHT)のカルシウムイオンに強く結合します。一般的な高いリン酸グラジェントによる溶出では、IgGと共にエンドトキシンは溶出されてしまいますが、低いリン酸濃度中でNaClグラジェントをかけると、IgGのみが溶出され、エンドトキシンは吸着したまま残ります。
A: 5-300mM リン酸バッファーの濃度勾配 - IgGと夾雑物が分離できず溶出される
B: 5mM リン酸バッファーをベースにNaCl濃度勾配 ? IgGと夾雑物LPA(リゾホスファチジン酸)、DNA、Etox(エンドトキシン)などが分離される
バイオ・ラッドには、そのほかにpH安定性の高いMPCや、酸性タンパク質の精製に適したCFTなどもあります。