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フローサイトメトリーにおいて、サンプルとなる細胞の調製手順はとても重要です。細胞の調製方法を変えることで、場合によっては得られるデータが大幅に改善することもあります。 今回ご紹介する記事では、フローサイトメトリーに供する細胞を調製する際の、留意すべき主要なポイントについて解説されています。

一般的な留意点

前半では、留意するべき一般的なポイントが4つ紹介されています。

1. 容器の素材
多くの細胞種で、ポリスチレンに対する接着より、ポリプロピレンに対する接着の方が弱い傾向があります。細胞の回収率が低い場合は、細胞調製の際にポリプロピレン製の容器を用いることで、回収率が改善する可能性があります。

2. 細胞になるべくストレスを与えない
遠心分離の時間や、細胞がペレットの状態でいる時間をなるべく短くすることが重要です。また、細胞の懸濁液を泡立てることも、細胞生存率の低下につながる可能性があります。

3. 細胞凝集の防止
フローサイトメトリーでは、細胞がひとつずつレーザー光を通過する必要があり、細胞の凝集はこれを妨げます。細胞の凝集を防ぐ方法として、DNA分解酵素やEDTAの添加や、測定前に細胞を70 μmのフィルターに通すこと、などが挙げられています。

4. 細胞の分散方法
組織片から細胞を単離するためには、組織片を酵素で消化し、単細胞に分散する必要があります。細胞種によっては、分散に用いる酵素を慎重に検討する必要があります。

FCMprep
サンプル種ごとの具体的な留意点

後半では、血液と腫瘍組織を例にとり、具体的な留意点について解説されています。

例1 : 血液

1. 採血から細胞の単離までの時間間隔はなるべく短くするべきです。この時間間隔が長いと、測定結果に影響が出る可能性があります。

FCMprep

2. 採血の際にはヘパリン、クエン酸、EDTAなどの抗凝固剤が用いられますが、実験の目的によってはEDTAの使用は適切でないことがあります。

3. 赤血球を除去するため、Ficoll や Lympho prep を用いる方法が紹介されています。

例2 : 腫瘍組織
  1. 腫瘍組織を単細胞に分散するには、多くの場合は物理的な方法(ハサミなど)と酵素が併用されます。しかし、細胞をより完全に分散しようとするほど、細胞へのダメージも大きくなります。トリプシンによる消化では強すぎる場合、コラゲナーゼやディスパーゼを用いるという選択肢もあります。
  2. 分散処理の後は、細胞の凝集塊が残っていないかを確認します。凝集塊が残っている場合は、酵素処理の時間を延長することなどを、必要に応じて検討します。
  3. 測定前には、サンプルをセルストレーナーに通すなどして、凝集塊を除去します。
  4. 細胞死を抑制するため、サンプルは氷上で保持します。
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