このコーナーでは、定期的にバイオ・ラッドの新製品や技術情報のトピックをご紹介します。

病理学的知見に基づいた遺伝子発現の網羅的解析は、バイオマーカー探索や創薬開発、さらには病気の進行中の遺伝子発現の変化など個別化医療に重要な役割をもちます。 しかし、ターゲット遺伝子が多くなるとサンプル調製も大変です。そこで、Prime™PCRとCFX AutomationシステムⅡを使用することで、人為的ミスの軽減や作業時間の短縮が期待されます。 今回紹介する技術資料は半自動化による定量PCR(qPCR)遺伝子発現解析の作業軽減化についてご案内します。

Anti-Apoptotic TNFs/NF-κB/Bcl-2 pathwayに関連した40遺伝子とリファレンス遺伝子をPrime™PCRパスウェイ384プレートで前立腺がん患者39人、健常者9人の遺伝子発現解析(全9,216データ)をおこない、CFX AutomationシステムⅡによる半自動化の作業時間とマニュアルによる操作時間を比較しました (図1)。

CFX AutomationシステムⅡによる遺伝子発現解析の作業時間は、マニュアルの操作時間に比べ半分の5時間に短縮されました (図2)。

CFX AutomationシステムはPCRプレートのバーコードを読み取りやソフトウェアでサンプルの追跡を可能とし、LIMS(Laboratory Information Management System)へデータを統合することができます。

図1.  半自動化によるqPCR遺伝子発現解析のワークフロー

図2. CFX AutomationシステムⅡとマニュアルの作業時間の比較

CFX AutomationシステムⅡの作業時間はマニュアル時に比べ半減した。

図3.  Anti-Apoptotic TNFs/NF-κB/Bcl-2 pathway Prime™PCRによる前立腺がん患者の遺伝子解析結果

クラスター 2; ステージII-IVにおいてBCL2 関連遺伝子が過剰発現
クラスター 3; ステージIIIにおいて NF-κB関連のRELA, REL,TRAF2, RIPK1 が過剰発現