このコーナーでは、定期的にバイオ・ラッドの新製品や技術情報のトピックをご紹介します。

バイオ・ラッドの SingleShot Cell Lysis Kit は、培養細胞を溶解させて、逆転写酵素を用いたリアルタイムPCR(RT-qPCR)用のサンプルを調製する試薬キットです。実は、このキットで調製したタンパク除去前のセルライセートは、ウェスタンブロッティングのための SDS-PAGE に用いることもできるのです。

今回の技術資料(Bulletin 6776)では、6-, 12-, 24-, 48-, 96-ウェルの細胞培養用のプレートから、SingleShot Cell Lysis Kit を用いて RT-qPCRとウェスタンブロッティングを行うための培養スケール別の実験プロトコールをご紹介しております。キット付属の Lysis Buffer は、RT-qPCR反応に影響しない組成なので、ゲノムDNAとタンパク質を除くだけで、RNA精製まで行う必要がありません。さらに、技術資料(Bulletin 6774) のようにStain-Freeゲルを用いた電気泳動を行えば、Stain-Free総タンパク質染色イメージから、レーンごとのローディング量の補正まで行うことができます。こうしてサンプルセルライセートの多くを消費してしまうRNA精製やタンパク定量を省略した結果、培養する細胞をスケールアップすることなく、96ウェルプレートのわずか1ウェル分の細胞からのRT-qPCR とウェスタンブロッティングのパラレル解析を行うことが可能になりました。

このように、mRNAレベルとタンパク質発現を同時に調べたいにも関わらず、培養スケールを増やすのが難しい細胞だったり、レプリケート数を増やして統計的有意性を評価したい場合などには、SingleShot Cell Lysis KitとStain-Freeゲルを用いたワークフローは非常に有用だと考えられます。

SingleShot Cell Lysis Kit を用いたサンプル調製のワークフロー

Bulletin 6774より引用)

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