このコーナーでは、定期的にバイオ・ラッドの新製品や技術情報のトピックをご紹介します。

PCRはRNAもしくはDNAを高感度で検出できるため、ごく微量のRNAウイルス、DNAウイルスのスクリーニングなどに利用されています。特に、感染症のスクリーニングには、作業従事者の感染リスクを最小限にするために、人為的操作をできるだけ少なくすることや同時に複数の検査項目をスクリーニングできることも望まれます。

今回は、2種類の病原性RNAウイルス(ジカウイルス、チグングニアウイルス)のRNAと病原性DNAウイルス(デングウイルス)のDNAにInternal positive control(IPC)として合成RNA(IC)とヒトゲノムDNA(RNase P)を添加した試料を Reliance One-Step Multiplex Supermixによる1ステップRT-qPCRで検出した技術資料(Bulletin 7196)をご紹介します。

3種類のウイルス遺伝子の5倍希釈系列とIPCのCq値プロット

上図に示すように、2種類のRNAウイルスとDNAウイルスの遺伝子の増幅効率はR^2=0.996~0.999とPCR反応阻害もなく増幅できました。

さらに、テンプレート入りの反応液を長時間静置すると、増幅や検出に影響することがありますが、Reliance One-Step Multiplex Supermixでは、室温に24時間静置した反応液でも、調製直後に測定した結果と同程度でした(下表)。

テンプレート添加直後と24時間経過後の各ウイルス遺伝子の検出感度の比較

このように、テンプレートを添加した反応液の劣化を気にせず使用できる Reliance One-Step Multiplex Supermixは、多く検体を扱う施設にお薦めです。

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