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ヒストン修飾や DNA - 転写因子の相互作用による転写制御をターゲットとしたエピジェネティクス研究において、クロマチン免疫沈降 (ChIP: Chromatin Immunoprecipitation) は重要な解析手法の一つとなっています。バイオ・ラッドの SureBeads 免疫沈降用磁気ビーズは共免疫沈降やプルダウンのようなタンパク質-タンパク質複合体の解析だけではなく、ChIP でも使用することができます。今回ご紹介します資料(Bulletin 7110) では、メチル化されたヒストンH3タンパク質(転写活性化因子)とプロモーター配列の相互作用を、SureBeads を用いた ChIP とリアルタイムPCR によって解析した一例です。

実験手順の概要
  1. DNAとタンパク質の架橋、細胞の可溶化
  2. 超音波処理や酵素処理によるDNAの断片化
  3. 抗H3K4Me3(ヒストンH3 の4残基目リジンがトリメチル化)抗体を SureBeads 磁気ビーズに結合させて免疫沈降
  4. タンパク質-DNA 複合体の回収と脱架橋
  5. DNA 精製
  6. 目的とする GAPDH プロモーター(転写は活性化)とHBB プロモーター(転写は活性化されていない)を、それぞれ CFX96 リアルタイムPCRシステムを用いて定量
ChIP における複合体形成の模式図
H3K4Me3 –プロモーター複合体に由来する蛍光シグナルの増幅

その結果、転写が活性化していない HBBプロモーターについてはネガティブコントロールと増幅曲線に有意な差はなく、H3K4Me3 との相互作用は認められませんでしたが、活性化している GAPDH プロモーターについては、H3K4Me3 と相互作用していたことを示す有意なシグナル増幅が認められました。このように、SureBeads 磁気ビーズを用いた免疫沈降は、エピジェネティクス研究にも応用することができます。

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