このコーナーでは、定期的にバイオ・ラッドの新製品や技術情報のトピックをご紹介します。

今回ご紹介する記事は、マイコプラズマ検出においてリアルタイムPCR(qPCR)からDroplet Digital PCR(ddPCR)へ移行する際の手引きとなるものです。

ddPCR技術の大きな利点は、PCR反応液を無数のドロップレットに分割し、各ドロップレットを0、1、2・・・n個の別々の反応容器にすることができる点です。PCR反応後にこれらはDNAテンプレートを含まないネガティブドロップレット、またはテンプレートが1コピー以上含まれるポジティブドロップレットのどちらかに明瞭に識別することができます。ネガティブドロップレットの割合からポアソン分布の公式を用い、最初のPCR反応液中のDNA分子の高精度で正確な絶対数が容易に算出されます。このようなddPCR原理のデジタルな性質により、増幅効率や機器等の変動性を排除した測定が可能になります。

この検証ではddPCRはqPCRと比較して、ゲノムコピー数(GC/well)とコロニー形成単位(CFU/ml)の両方でより高い感度を示しました。またddPCRの測定は実験者間差、装置間差、試薬ロット間差、日間差が小さく、高い再現性を示す結果となり、ルーチンで実施されることが多いマイコプラズマ検出には高い再現性を示すddPCRが今後活用されることが期待されます。

qPCRとddPCRのマイコプラズマ検出の感度比較。LODは95%以上検出された最も低い濃度として定義した。

ddPCRアッセイの再現性。2人の実験者が、それぞれ2種のロットを、異なる日に、異なる装置でテストしました。直線性プロットの傾きは1%、R^2値は0.1%の差となった。
実験者1(): R2 = 0.9992; 実験者2(): R2 = 0.9982

今回の記事の関連情報

今回ご紹介した記事の詳細はこちらからご覧いただけます。

Transitioning from Quantitative PCR to Droplet Digital PCR for Mycoplasma Detection

製品紹介:

QX200 Droplet Digital PCR システム

※当該製品は研究用機器であり、医療機器ではありません。

Vericheck ddPCR Mycoplasma Detection Kit

※※当キットは研究用試薬であり、バイオ・ラッドが提供するDroplet Digital PCRシステムのための専用試薬です。診断および治療目的には使用できません。

Droplet Digital PCR 論文データベース
日本国内のユーザー様からの論文報告のご紹介
このページの情報は役に立ちましたか?
お探しの情報が見つからなかった場合やご意見など、下記までお問い合わせください。

バイオ・ラッド テックコール
life_ps_jp@bio-rad.com,
03-6404-0331(平日9:00-17:00)

デジタルPCR関連記事のバックナンバー
DNAを1分子ずつ数える ‐次なる核酸分子測定パラダイムとしてのデジタルPCRの展望‐
Droplet Digital™ PCRによる迅速なバリアントcis/trans Phasingの決定法ガイドライン
リアルタイムPCRからDroplet Digital PCRへのアッセイ移行の検討方法
Droplet Digital PCRマルチプレックス化の2つの戦略
FFPEサンプルからの高感度で正確なKRAS変異ddPCRスクリーニング
治療標的RNAのデジタル定量 ~Droplet Digital™ PCRによる細胞あたりの正確なRNA分子数測定は、RNAの機能を理解するための基礎を提供する~
Droplet Digital™ PCRがHIV研究の新たな展望を開く
美しいビーチに潜む病原菌 - 沿岸生態系のデジタルモニタリング -
メチル化DNAの高感度で堅牢な検出方法とは?
ドロップレットデジタルPCRで遺伝子間の赤い糸を調べてみました
セルソーティング と デジタルPCR のコラボレーション!
ドロップレットデジタルPCRを使用したゲノムへの変異導入数の超高感度定量
KRAS変異のスクリーニングにはハイスループットなデジタルPCRで
従来法を超える変異検出を可能にするDroplet Digital PCR
ドロップレットデジタルPCRを用いたテロメラーゼ活性測定法
次世代シークエンシング(NGS)のライブラリ定量には次世代PCRを!
ドロップレットデジタルPCRが拓く定量革命 -CNV編-
 
その他のバックナンバー